2020年度から始まる小学校のプログラミング教育では「ITシステム化教育」もして欲しい
■2020年度から小学校でプログラミング教育が始まるそうです
小学1年生の子を持つ親としても、SIerの経営者としても、ちょっと気になるトピックでしたので、何を教えるのかを調べてみました。
その際、たまたま見かけた記事ですが、良記事だったので触発されました。
私も1つ意見を書いておきます。
上記記事では、以下のような記載があります。
このプログラミング教育の目的は、いわゆるプログラミングの技術を習得することではなく、「プログラミング的思考」を身につけることだそうです。
簡単に言えば「目的達成に必要な手順を論理的に考える力」ということです。
「目標達成に必要な手順」とは、プログラムそのものを指すので、言い換えると「プログラムを論理的に考える力」です。
「プログラムを書くこと」が重要ではなく「プログラムを書ける能力(論理的思考)」が重要である、ということですね。
完全に同意です。
プログラミングのスタイル、利用される言語、実行する環境などは、時代とともにガンガン変わっていきます。
小学校時代に習ったプログラミングスキルが、大学を出た後にそのまま通用するとは考えられません。
そもそも、ほとんどの人がプログラマにはならないので、具体的な言語スキルをみんなに学ばせるのは時間の無駄とすら言えます。
それであれば「プログラムを論理的に考える力」といった普遍的な技術を学ぶことこそ重要というのは、非常に理にかなっています。
・・・であればこそ「ITシステム化教育」についても勉強に組み込んで欲しいなぁと思った次第です。
論理力を鍛えるだけであれば、既存の枠組みの中で、読解力や算数の力を伸ばせば良いだけで、あえて「プログラミング」を学ばせるなら、それを利用する目的も正しく教えて欲しい。
■ITシステム化教育で何を学ばせたいのか?
ITを駆使する職業であるSIerであっても、プログラムを書くという行為は一部の手段です。
最終的に作りたいのは「ITシステム」です。
また、ITシステムは利用開始されるタイミングからが本当のスタートです。
初期に作った原形のまま何も手を加えられないITシステムなど、ほぼ存在しません。
仮にあったとしても、そのシステムは「ほとんど利用されていない」状態でしょう。
では、そういったITシステムを構築する上で必要な「アジャイル型開発」の手法を学ばせれば良いのか?・・・というと、そう主張したいわけではありません。
では、何を学んで欲しいのか?
それはズバリ、ITシステム化するメリット、ITシステム化する観点を学んで欲しい。
しかも一度作ったら終わりではなく改善し続けるというITシステム特有の観点を学んで欲しい。
■ITシステム化するメリットはどう学ばせるか?
ITシステム化されたことで生活がどう変わったのか?についての歴史を学ぶ授業をやれば良いと思います。
例えば、スマートフォンの普及でどう生活が変わっていったのかなどは良い例です。
スマホ普及前と普及後を比較して、どんなメリットが得られるようになったか?を例示すればよいでしょう。
または、やや古い例になってしまいますが、切符からSUICA・PASMOに変わった例は、小学生にも伝わりやすいのではないでしょうか?
IT化するメリットが非常に分かりやすく伝わるとともに、IT化の楽しさ、面白さが伝わると日本にとって良い未来が待っていると思います。
また、このような教え方をすることで、歴史の暗記物教科に出来るので、教えるのも、テスト化するのも簡単という学校側のメリットも挙げておきます(笑
■ITシステム化する観点はどう学ばせるか?
難しいのは「ITシステム化する観点」を学ばせることです。
ITシステム化する観点としては、自動化、細分化、情報共有化など様々な点が挙げられますが、個別の事象を抽象化して理解する必要があることを、小学生相手に教えるのはやや難しいかな?とは思います。
また、ITシステム化する観点を教育・計測するためには、自由回答式の問題とその回答を用意する必要があり、教えるのも、テスト化するのも負荷が高いと思われます。
とは言え、ここを避けてしまうと『IT化する未来は明るいけど「では、どうするの?」に応える力が育たない』とあっては、片手落ちも良いところです。
現状の日本のDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進んでいない最大の理由でもあります。
■改善し続けるというITシステム特有の観点について
「サービスや商品を作って販売して終わり」ではなく「むしろサービスを提供してからスタート」という、ITサービス特有の仕組みも合わせて教えてほしいです。
これも成功している事例がたくさんあるので、事例で学ばせれば良いでしょう。
あえて、この観点も学んで欲しいと思う理由は、日本人特有の完璧主義というか、他人のちょっとしたミスに対する厳しさが、いかにITシステム製作と相性が悪いのかを、早いうちから理解しておいて欲しいからです。
■銀の弾丸はないけど狼人間は倒せる
今回の教育メニュー改善の目的は、たぶん、国際社会、IT化社会において、どんどん力を失っている日本を、いかに立ち直らせるか?だと思ってます。
国の一部には「GAFAのようなIT企業に対する規制強化で何とかしよう」と言うような馬鹿馬鹿しい考えもあります。
そういう使えない銀の弾丸とは関係なく、日本の国力をいかに正しく上げていくかを真剣に考えてた人達の成果だと思います。
だからこそ、もう1歩踏み込んだITの力を使って、より社会を豊かに変えて行く、そういった力を伸ばして欲しいと思った次第です。